昔読んだ本を思い出した↓

この本はイラククルディスタン赤新月社
医者として派遣された日本人医師の体験が綴られていて
それだけでも面白い本なのだが、
その中に「NGOのムダとムリ」という項目があり
この内容がとても興味深かった。

どこがかと言うと自分にはどうしてもNGOというと
ボランティア=無償というイメージが
付きまとっていたのだが、NGOは雇用創出機関でもあると
いう部分。以下引用

  NGOがプロの活動をすればするほど、メンバーもプロでなくてはならず、
  そのようなメンバーに年単位で参加してもらおうと思えば、当然給料も
  払わなければならない。〜中略〜
  NGOは、その活動から利益を得ることはない。すなわちその活動で
  恩恵を被る人から金は取らない団体である。
  しかしそれと、NGOに雇われるメンバーが給料をもらうこととは矛盾しない。

そして著者はNGOによる安定した雇用創出や信頼造成による
ビジネスチャンス獲得のためにもNGOはすべきだ、という。
要するに「情けは人の為ならず」ということで、自分もこの意見には
賛成である。
しかしながらそうお互いに好意的でいられる話ばかりでもなく
NGOには違う視点もある。これもまた同じ本からの引用。

 「大航海時代、ヨーロッパのキリスト教徒は、植民地を作るにあたり、
 まず布教者がやって来た。そのあとに襲撃者が続いた。二十世紀は、
 NGOがまず来て、そのあとに略奪者が続く。昔も今も何ら変わっていない」
 (第三世界の人の発言という設定で書かれた言葉より)

要するに収奪の先遣隊として役割がNGOにはあるということである。
先に述べたビジネスチャンス云々もそういった意味を含んでいるだろう。
……
著者はある程度親しくなった現地の人にかならずと言っていいほど
「真の目的」を尋ねられたそうだ。お前は日本政府から報酬をもらって
情報収集活動を裏でしているのでないかと。
また、そういった疑念を抱かれてもしょうがない、
傍目にもどうでもいいというしかない活動のNGOイラクには
存在していたという(例えば物資の横流しが恒常化した環境での
たった一人のアメリカ人技師による在庫のコンピュータ管理化事業等)
……
この本を思い出したきっかけはもちろんイラク国内で
NPOとして30年間働いていたというハッサンさんの
誘拐殺害事件ですが(該当記事へのリンク↓)
http://webnews.asahi.co.jp/ann_i_141117022.html
この文章の目的はハッサンさんがスパイだったのではないか 
ということでは決してないです。
ただ日本においてNGONPOが好意的に受け止められている
あまりそれらの人々を殺害するテロリストが本気で
分からない、ということがあるような気がします。
もちろんこうした誘拐殺害が正しいことだなんて
毛ほども思わないですが、
現地の人がNGONPOに対して
いだいてる胡散臭さと言うのは日本がそれを
続けていく上で認識しておくべきだと思いました。