もうすぐこの妄想も賞味期限切れになるかもしれないから書く。ハリポタ六巻ネタバレ放題。考察という名の妄想。七巻予想。危険です!注意してください!なんというか濃いのでやおい的(あくまで的)かもしんないし。







ローリング女史すげえ。
今まで彼女が完全無欠のように描いてきたダンブルドアが、左手にダメージを受けて登場した最新刊。
あれは彼の肉体的な力の衰えとともに彼の精神の弱点をいよいよ描くという暗示ではないか。
少なくとも私はこの巻に二つの彼の弱さをみた。そしてハリーポッターという物語が初めて本当に好きになった。
一つ目
不吉な予言からハリーへ甘く接したこと。更に、予言と、そこから予測されるハリーに生じる苦難を本人へ話さなかったこと。
「いずれ死ぬか、死ぬほどの酷い目に合うと分かっている子どもをどうして少しでも甘やかしてやれないだろうか」
そういう彼の気持ちがシリウスの死を呼んだ。彼のハリーへのエゴは死を招いてしまった。
二つ目
スネイプとの夜の森の口論。無理な頼みごと。
過去の記憶を読むペンシーブから分かった、愛されない子どもだったスネイプ。
それに愛情と信頼を持って接したように思えるダンブルドア
だけれどそのダンブルドアが、もし私の推論が正しいならば、また彼のエゴを酷く押し付けた相手もスネイプではないか。
過去に自分が愛情を注いでいた生徒たち(ハリーの父、ジェームズ。快活だったその友、シリウス。三校合同祭の彼。特にこの二つの死は直近。そのほかにも大勢の命。)
を次々と彼は失った。もう二度と、自分の庇護下にある生徒の命は失うまい、と思ったとしても不思議ではない。その哀切と決意は彼の口からも表現される。
しかし、そのことが、ドラコのダンブルドアを暗殺しようとするたくらみに対して、彼を酷く思いつめさせるようになったのではないか。もう二度と奪わせまいと自分の命を差し出すほどに。
しかし、それはスネイプを、愛されなかった子どもである彼を、手酷く傷つけさせる行為だし、それを分かっていなかったはずもない。だから彼は夜の森で、多分その他の場所でも断り続けるスネイプにそれを懇願したのだろう。頼むと、お願いだと。
それが彼の弱さだ。追い詰められて、ひたすらに自分の命をエゴで捧げる。

スネイプはそんな彼を見てどう思ったのだろうか。愛されなかった自分を唯一包んでくれた彼が、自分のエゴをむき出しに、スネイプを酷く傷つけると分かっていて、懇願する。
それを、もしかしたら彼が傷つきながらも「自分に頼んだのだ」と「他でもない自分に彼が頼んだのだ、だからやり遂げねば成らない」と思ってしまったなら、それは本当に悲しいし、可哀想なことだと思う。間違っているとは、とても言えないけれど。
だから、問題のスネイプによるダンブルドア殺害のシーン。あれは非常に考えさせられる。
ダンブルドアの「please」あれには多分二重の罠が仕掛けられている。誤読を誘う罠。
最初はもちろん「殺さないでくれ、お願いだ」
次は「どうか殺してくれ」
多くの人はそう思っただろうと思う。
でも多分その次の読みはこうなのではないか。
「どうか殺してくれ、そして許してくれ、私の弱さと我儘を。そしてハリーのことは頼む」
最後のpleaseは多分懇願と謝罪と信頼のplease。
信じているのだと。だから頼むのだと。ハリーを。自分のエゴで傷つけたもう一人の子どもを、頼む、と。


私は、願わくば、スネイプにはダンブルドアへの忠誠だけでなしに、ハリーを守って欲しい。
愛されなかった子どもが、同じように、愛されて育てられなかった子どもに愛を与えて欲しい。
自分で愛を生み出して欲しい。
また願わくば、それがハリーに伝わって欲しい。
愛を知らなかった子どもに、愛というものの存在を教える役をスネイプに与えて欲しい。
そしてそのきっかけを与えたのが、人間的な弱さを持ちながら、それでも愛の人であり続けたダンブルドアであって欲しい。
ただの希望だけど、愛の物語だとローリングさんが言うなら、そうなって欲しい。






(もちろんヴォルデモード含めて、ローリングさんなら……!ローリングさんならやってくれる!!)










追記、この考察・深読み妄想は私が拙い英語力で読んだ六巻に基づいているので基本的な誤読をしている可能性が高いです。
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