ポーの話 ネタバレしまくり
プラネタリウムのふたご以来の分厚い長編。読んだ。
- 作者: いしいしんじ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/05/28
- メディア: 単行本
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この話はモロ母性を中心に進むと言う印象を持った。
主人公のポーは「うなぎ女」と呼ばれるうなぎ取りを代々のなりわいにする
集団の一員によって川に産み落とされるわけだけど
「うなぎ女」のひとりが、というわけでなくうなぎ女全体が
ポーの母親の役割を果たす。
それでもって色々あって川の上流にある街から洪水とともに下って
どんどん下流に流されていく。んで積み重なるドラマ。
個人的には天気売りのひよわいシロバトを育てるエピソードが印象的。
それで河口まで流され流されて海にたどり着くポー。
そこで、というかそれまで積み重なった母以外の人とのふれあいの結果か、
人外の女人魚に背いて地元の漁のために
鉱泉のみなもとをセメントでふさぐ決断をする。
で暗転。
なんだか人間じゃないような存在になったポーはこれまで来た川をさかのぼって
自分が生まれた街へと向かう。
そして……
母親=うなぎ女=母なる川ってことなんだろうか。
読んでるときは個々のエピソードに胸がつまってあまり深く
考えないようなことが後から思い返すときちっと暗喩されてる気がして
すごいなと思う。計算してのことかはわからないが。
でもひとの一生って川を下ってまた遡上するイメージに
確かに近いなと感じた。
ゆく川の流れはたえずして。とか。うーん…