山本七平 『私の中の日本軍』を読んだ

『常識の研究』も家の中に転がっていたのだが
まだこの人の著作があるかなーと家の本棚を発掘。
発見したので読む。

私の中の日本軍(上) (文春文庫 (306‐1))

私の中の日本軍(上) (文春文庫 (306‐1))

続けてこっちも
一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)

最初書かれた当時の状況が良くわからなかったのだけれど
読み進めていくとジャングルから小野田少尉
救出されるかされないかというときに
執筆され始めたことが分かった。
で、それはともかく、この本(上の方)は、本人の軍隊経験を語りつつ
それによって、例の百人斬りの記事の欺瞞を
ひいては当時の日本軍の欺瞞を暴く構成になっている。
正直「百人斬り」のウソというのは、日本刀の限界という
観点からしか知らなかったので、具体的な戦闘体験から来る
そのインタビューを受けたときの向井さんの心理状態の類推など
非常に興味深かった。
そして、それ以上に思ったのは、作者も文中で言及しているように、
日本陸軍の問題であったことが、現代社会においても
同じように問題になっている、ということであり、
それがサヨクであったり、粉飾決算であったり、虚報であったり
するのだ、ということだった。
何が言いたいのか分からなくなっちゃったが、とにかく
WW2中の日本軍を「見ずに」批判する行為自体が
彼らと同じ穴のムジナに陥ってないか?という筆者の
考えはすげー良く分かった。そんでもってその事が
筆者をして、軍隊体験を語らせるきっかけになったん
だろうなーということも。