須賀しのぶの虚剣を読んだ
ある一定周期で読み返す本が
自分の中にはあって、それは田中芳樹の銀英伝で
あったり、はたまたワイルダーの「大草原」シリーズ
だったりするのだけれど、
その中に須賀しのぶの地上より永遠に―キル・ゾーン (コバルト文庫)から
始まるKZシリーズや現在刊行中の流血女神伝シリーズが
ある。
どちらのシリーズもいい意味で少女小説の王道から
外れているが、この本↓
- 作者: 須賀しのぶ,梶原にき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/12/25
- メディア: 文庫
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いかにもコバルトっぽいテーマに、この作者らしく
剣の道とは何かという
漢らしさが極まった問いをからめて
エンターテインメント作品に仕上げている。
少女小説にも歴史物、時代物は今までにもあったけれど、
ここまで直球に時代小説な文体というのも
あまりないのでファンとしては是非これからも
時代物を刊行して欲しいところ。
以下ネタバレ含
…………
最後に連也が禁断の恋の相手である妹のお琴をあきらめ、
剣の求道者たらんとするのだが、
この選択って果たして少女小説としてありなのかどうなのか。
そりゃ史実上の人物だから嘘はつけない。
でも、その人物を描くことを選択した、ということは
最初からそういう風な結末にしようと決めてたという
ことだよなあ。うーん。
恋を捨てたあとの剣のみに生きる連也と最強のライバル柳生十兵衛の
今後というのが
非常に面白そうなので見たいのだが、
でもそれをやったら、完全に剣豪小説になってしまうので
コバルトから出せないか…?
少女小説の定義とはいかに、と悩ませられる作品だなあ。
(そういや須賀しのぶの描く主要男キャラって
恋より自分の信念を貫く方が多いから、
今に始まった話でもないかもしんないが)