オタクの香り漂う書評。半分別話
前の予告エントリを丸無視して
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本。
「ハウルの動く城」が公開明日だそうだが
すごい勢いの出版ラッシュだな。
今まで未翻訳だったものが読めるのが嬉しいが
すでに2ch界隈では魔女の宅急便の原作と同じ扱い
を受けている気配がする。
確かに「ハウル〜」はそんなに含蓄の深い話というわけでは
ないので、それだけ読めばそうなんだろうが…複雑だ。
そういえば「イノセンス」で押井監督がすごい勢いで
映画ハウルネタバレをしてて
生暖かい気持ちになるとともに、全く違う内容になっていることに
驚いた、でも見たら面白いとか思ってしまうんだろうなあ。
昔からディズニーは好きじゃないのにハヤオ映画には
なんとなく弱いんだ。ただ魔女宅といいこないだの
「千と千尋」といいアレだ。宮崎監督の原作物は原作に対する
愛が感じられない。(千と千尋の原作、というか元ネタは
柏葉幸子の「霧のむこうのふしぎな町 (講談社青い鳥文庫 11-1)」なんだが、いくらなんでも
「面白くない」は無いだろうよ)
そんなもの望んではいけないんだろうが…
まあ今回も元ネタぐらいに思って見るといい感じです。
(キムタクもネタだと思ってみると多分…?)
……
で、ジョーンズの新刊。
- 作者: ダイアナ・ウィンジョーンズ,Diana Wynne Jones,駒沢敏器
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/11/01
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
それならハウルの徳間書店がとっくに翻訳権取ってるだろうよ、
と生ぬるいツッコミを入れつつ買ったんだが、
案に相違してなんというか凄い本だった。
こんだけ伏線貼りまくりなのにぱっと見
矛盾が見当たらない。
どういう話かを説明するのも難しいぐらい複雑に
物語の視点が変更し、筋が絡み合ってるんですが、
大まかなストーリーは宇宙の支配者であるレイナー一族が
中心となって進みます。で、主人公のアンはそれに下克上をしかける
立場にいるんですが、敵を打ち倒しつつ、自分のコンプレックスを
解消しつつ…というここだけ読むとお決まりのパターン。
でもその題名にもある「魔空」空間での時系列や
位相の混乱描写が独特なんだよなあ。これは誰にも真似できないと思う。
そして九年目の魔法 (創元推理文庫)の時も思ったけれど
(ジョーンズが好きなのか?)少女と年上の男とのロマンス。
伏線は多いですが、難しい話には決してならないところが
上手いなあ、と感心。
無条件には薦められないけれどパズルみたいに
はまってゆく伏線のパチリ感が好きなら買い。
ジョーンズが好きなら買い。
ちょっとロリ入ってる人にも多分買い。
↑
いや少しネタバレになるけどこれは
騙しか。でも話の途中までなら真実。