オタクの香り漂う書評。半分別話

前の予告エントリを丸無視して
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本。
ハウルの動く城」が公開明日だそうだが
すごい勢いの出版ラッシュだな。
今まで未翻訳だったものが読めるのが嬉しいが
すでに2ch界隈では魔女の宅急便の原作と同じ扱い
を受けている気配がする。
確かに「ハウル〜」はそんなに含蓄の深い話というわけでは
ないので、それだけ読めばそうなんだろうが…複雑だ。
そういえば「イノセンス」で押井監督がすごい勢いで
映画ハウルネタバレをしてて
生暖かい気持ちになるとともに、全く違う内容になっていることに
驚いた、でも見たら面白いとか思ってしまうんだろうなあ。
昔からディズニーは好きじゃないのにハヤオ映画には
なんとなく弱いんだ。ただ魔女宅といいこないだの
千と千尋」といいアレだ。宮崎監督の原作物は原作に対する
愛が感じられない。(千と千尋の原作、というか元ネタは
柏葉幸子の「霧のむこうのふしぎな町 (講談社青い鳥文庫 11-1)」なんだが、いくらなんでも
「面白くない」は無いだろうよ)
そんなもの望んではいけないんだろうが…
まあ今回も元ネタぐらいに思って見るといい感じです。
(キムタクもネタだと思ってみると多分…?)
……
で、ジョーンズの新刊。

魔空の森 ヘックスウッド

魔空の森 ヘックスウッド

これは帯にジョーンズの代表作と銘打ってあって
それならハウル徳間書店がとっくに翻訳権取ってるだろうよ、
と生ぬるいツッコミを入れつつ買ったんだが、
案に相違してなんというか凄い本だった。
こんだけ伏線貼りまくりなのにぱっと見
矛盾が見当たらない。
どういう話かを説明するのも難しいぐらい複雑に
物語の視点が変更し、筋が絡み合ってるんですが、
大まかなストーリーは宇宙の支配者であるレイナー一族が
中心となって進みます。で、主人公のアンはそれに下克上をしかける
立場にいるんですが、敵を打ち倒しつつ、自分のコンプレックスを
解消しつつ…というここだけ読むとお決まりのパターン。
でもその題名にもある「魔空」空間での時系列や
位相の混乱描写が独特なんだよなあ。これは誰にも真似できないと思う。
そして九年目の魔法 (創元推理文庫)の時も思ったけれど
(ジョーンズが好きなのか?)少女と年上の男とのロマンス。
伏線は多いですが、難しい話には決してならないところが
上手いなあ、と感心。
無条件には薦められないけれどパズルみたいに
はまってゆく伏線のパチリ感が好きなら買い。
ジョーンズが好きなら買い。
ちょっとロリ入ってる人にも多分買い。

いや少しネタバレになるけどこれは
騙しか。でも話の途中までなら真実。