ダイアナ ウィン ジョーンズの時の彼方の王冠―デイルマーク王国史4 (創元推理文庫)を読んだ

そっか。やっぱり現代のシーンが出てくるのか、と思った。
まあでもきっとそこは本筋には関係なくて、重要なのは、最後の訳者解説にもあったようにキャラの多面性に焦点を当てたことだと思う。これは、シリーズモノだからこそ出来ることで、一冊完結の作品であれば、かえってゴチャゴチャして分かりにくくなるだけだろう。
話の枠は今までも書いたようにオードドックスだし、そういう意味で手堅くはあっても、驚きはないが、綺麗に落ちる(今回は綺麗に落ちました)パズル嵌め感は良い。





映画の原作で結構作品が読まれるようになっただろうけれど、多分映画を見て抱いた期待とは違うだろうと思う。特にハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)は映画の主題とはずれる、というかアレだ。冒頭の主人公の「長女だから何をやっても上手くいかない」という、アラビアンナイトやヨーロッパの民話でよく出てくる設定で結構「えー、映画と全然違わね?」となっちゃうだろうな。よく言われることだけれど、映画と原作の関係は極力控えめに見積もっておいた方が良いんだろう。ジョーンズの作品には、ああいう素直な心情吐露はないし、すっごい派手ーなアクションなんかはないけど、手堅い面白さは存在してる。そこが好き。