恩田陸「夜のピクニック」*ネタバレ含

恩田陸の「夜のピクニック」を読んだ。

夜のピクニック

夜のピクニック

同じ作者の六番目の小夜子 (新潮文庫)が好きな人におすすめで、
正統派学校青春もの。
主人公の貴子がいかに異母きょうだいである融と
和解するかを「歩行祭」という丸一日歩きとおす
奇妙なピクニックの中で描く作品。
実は読み始めの時に荻原規子樹上のゆりかごを思い出して
なんとなく似てるなあと思ったんだけど、よくよく考えたら
「樹上のゆりかご」を呼んだ時は「六番目の小夜子」に似てると
思ったわけで、何が言いたいかというと、自分アホだなあ、…じゃなくて
いかに学校の行事と主人公の私的な悩みの解決、というかたちが
良くあるか、ということだと思う。
けど、その良くある形式、を上手く使っているのがこの本で、
歩行祭による身体的な疲労と気分の高揚の中で少しづつ
異母きょうだいとの心のわだかまり
ほどけていく描写が凄く上手いと思った。

そう、凄くいい本なんだよなあ。
ただこれを読んだら、文化祭とか体育祭に真面目に参加
しなかったことをちょっと後悔するようになって
なんだかもうトシだなあ、とかバカなことを
思ってしまったことであるよ…

熱でセンチメンタルな気分になりがちだ。