恩田陸「夜のピクニック」*ネタバレ含
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/07/31
- メディア: 単行本
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正統派学校青春もの。
主人公の貴子がいかに異母きょうだいである融と
和解するかを「歩行祭」という丸一日歩きとおす
奇妙なピクニックの中で描く作品。
実は読み始めの時に荻原規子の樹上のゆりかごを思い出して
なんとなく似てるなあと思ったんだけど、よくよく考えたら
「樹上のゆりかご」を呼んだ時は「六番目の小夜子」に似てると
思ったわけで、何が言いたいかというと、自分アホだなあ、…じゃなくて
いかに学校の行事と主人公の私的な悩みの解決、というかたちが
良くあるか、ということだと思う。
けど、その良くある形式、を上手く使っているのがこの本で、
歩行祭による身体的な疲労と気分の高揚の中で少しづつ
異母きょうだいとの心のわだかまりが
ほどけていく描写が凄く上手いと思った。
そう、凄くいい本なんだよなあ。
ただこれを読んだら、文化祭とか体育祭に真面目に参加
しなかったことをちょっと後悔するようになって
なんだかもうトシだなあ、とかバカなことを
思ってしまったことであるよ…
熱でセンチメンタルな気分になりがちだ。